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ジャーナリストの池上彰氏をして「驚異的」と言わしめる読書量を誇る佐藤優氏をご存知でしょうか?
彼は月に平均300冊、多い時には500冊以上の書籍に目を通し、さらに複数の新聞や雑誌まで読みこなしています。
毎月90本近くもの原稿締め切りがある中でこの読書量を維持していることは、まさに超人的と言えるでしょう。
佐藤氏は、最初からこのような大量の読書ができたわけではありません。試行錯誤の末に**「熟読」と「2種類の速読」**を使いこなすことで、膨大な情報を効率的に吸収する術を身につけました。
その読書術は、ベストセラーとなった著書『読書の技法』で詳しく解説されています。
彼の膨大な読書量は、読書がもたらす様々なメリットを最大限に追求し、活用するための実践そのものです。
今回は、佐藤優氏の読書習慣を紐解きながら、読書が私たちにもたらす計り知れない恩恵について深掘りしていきます。
目次
佐藤氏が実践する読書術の核は、「熟読」と「2種類の速読」の使い分けにあります。これにより、情報の深度と速度を両立させ、多忙なスケジュールの中でも驚異的な読書量を実現しています。
このバランスの取れた読書アプローチこそが、彼が多様な知識を吸収し、それを自身の思考や執筆活動に活かす基盤となっています。
佐藤氏の読書実践は、以下の9つのメリットを私たちに示唆しています。この読書と言う体験はプライベートな体験のみならず『ケアマネジャー』としての業務にも大きく役立ちます。
インターネット検索は手軽ですが、著者の生き方、詳細な経験、そしてそこから導き出される深い人生に関する情報は、やはり本でしか得られません。
言葉の意味を単に知るだけでなく、物事の背景や本質を深く理解するためには、著者の思考が凝縮された本を読むことが不可欠です。
インターネット上の情報は玉石混淆であり、その信憑性には常に注意が必要です。一方、書籍は編集者や校閲者によるチェックを経て出版されるため、一般的に情報源としての質が高く、信頼できます。
情報過多の現代社会において、質の高い情報を見極め、吸収する上で読書は非常に重要な役割を担います。
読書を通じて、普段使わないような洗練された言い回しや表現に触れることで、自然と文章能力が向上します。
また、語彙や表現の幅が広がることで、自分の考えや感情をより的確に、そして豊かに相手に伝えられるようになり、結果として会話力も向上します。
知らなかった漢字や言葉に出会うたびに調べることで、着実に知識が身につき、語彙力が増していきます。
豊かな日本語表現に触れることで、「伝えたいことがあるのに、うまく言葉にできない」というもどかしさから解放され、表現の自由度が格段に高まります。
読書は、知らなかった知識や教養を「芋づる式」に習得できる最高のツールです。例えば、ある分野の本を読み始めると、そこから派生する関連知識にも興味が広がり、多角的な視点から物事を捉える力が養われます。
これにより、新たな興味の扉が開き、時には自身の生き方や価値観が変わるきっかけとなることもあります。
本の文章や単語から、登場人物の感情、背景にある情景、そして物語の展開を想像する機会は、日常生活において他者の心情を理解し、共感する力へとつながります。
読書は、私たちの内なる想像力を刺激し、共感力を高める訓練の場となります。
本の中には、現実では体験できないような世界や、過去・未来の様子が描かれています。
これらの物語や考察に触れることで、斬新なアイデアや問題解決のヒントが得られることがあります。読書は、自分の世界を広げ、思考の枠を広げる手っ取り早い方法の一つです。
読書で得た多様な知識は、友人や同僚との会話の素晴らしい話題となります。本に関する情報交換や意見交換を通じて、新しい発見があったり、議論が深まったりと、会話がより豊かで楽しいものになります。
意外に思われるかもしれませんが、読書には優れたストレス解消効果があります。短時間の読書でも、日常の喧騒から離れて物語や知識の世界に没頭することで、リフレッシュ効果やリラックス効果が期待できます。
佐藤優氏のような多読家が、なぜこれほどまでに読書に時間を費やすのか。それは、読書が単なる情報収集にとどまらず、知識を蓄積し、世の中を深く読み解き、そして新たな価値を生み出し続けるための「知の源泉」であることを知っているからです。
私たちも、佐藤氏の読書術や読書がもたらすメリットを参考に、日々の生活に読書を取り入れてみてはいかがでしょうか。きっと、あなたの世界がより豊かに、そして深く広がるはずです。
yabiccho-san.com/教養を得るには【まとめ記事】|現代人のための
「実家に帰ったら、物であふれ返っていた」「親が片付けをしようとしない」――そんな悩みを抱える中高年世代に向けて書かれたのが、平松類著『老いた親はなぜ部屋を片付けないのか』です。
老親の片付けられない理由を医学的・心理的・社会的な視点から丁寧に解き明かし、「怒らず」「焦らず」「無理させず」対応するためのヒントが詰まった一冊です。
介護や終活、実家の片付けに悩む人にとって、親子関係を見つめ直す貴重な手がかりとなる本書を紹介します。
なぜ老いた親は部屋を片付けないのか?
※認知機能の低下と“見えないごみ”
高齢になると、視力や判断力が衰え、「モノがある」ことに気づきにくくなる。
本人は「散らかっていない」と思っていても、実際には危険な状態であることが多いのです。
※思い出の品を手放せない心理
モノには記憶が宿ります。特に戦後を生きた世代にとって、「捨てること」は「大切なものを失うこと」。
そのため、「もったいない」「また使えるかも」という心理が強く働きます。
※“支配される”ことへの抵抗感
子ども世代から「片付けて」と言われると、まるで命令されているように感じ、反発してしまうケースも。
これは“自立”を守るための自然な心の反応でもあります。
【まとめ】親の「片付けられない」には理由がある
『老いた親はなぜ部屋を片付けないのか』は、単なる「実家の片付けマニュアル」ではありません。
高齢者の心理や身体の変化、そして親子関係の機微をやさしく解きほぐしてくれる一冊です。
読後には、片付けの悩みだけでなく、「親の老い」にどう向き合うかを深く考えさせられるでしょう。
※もっと詳しく内容を知りたいかたはココ(↓)をクリック※
適切なケアマネジメントの実践とは
今年度は、介護支援専門員の資格を更新する時期になっている私ですが、現在、主任介護支援専門員更新研修に参加しています。
研修の講義の中で、主題になるのは「適切なケアマネジメント」についてです。
今回、「適切なケアマネジメントの手法」について概要と要点をまとめます。
適切なケアマネジメントとは?
適切なケアマネジメントとは、介護保険施行から25年が経過しますが、その中で、ケアマネジャーは、アセスメントを通して、利用者の意思や生活背景を尊重し、ケアプランを作成し自立支援を目的とした支援を行ってきました。
心身の状態や生活環境を多面的に把握し、課題とニーズを明確化。その上で個別性のあるケアプランを作成し、多職種と連携してサービスを調整・実施しますが、新人のケアマネジャーとベテランのケアマネジャーのアセスメントによる分析力ではおのずと差が生まれてしまいます。
適切なケアマネジメントとは、ケアマネジャーの知見を元に「基本的なケア」と「疾患別ケア」に分けて、情報収集のしかた(あたり)を示した内容になっています。
言ってみれば、「ベテランの言語化できない(なんとなく)な情報収取の仕方」を、マニュアル化してしまうという取り組みです。
そのために、学ぶべき科目と要点は膨大な数になります。言ってみれば、25年、現場で積み上げてきた先輩ケアマネジャーの「知見」を言語化した内容とも言えば納得できる内容です。
とても学びのある研修です。この後も引き続き、研鑽を積んで行きたいと思います。引き続き介護支援専門員研修は続きます。
「しんどさの正体」ミッドライフクライシスとは?
人生の折り返し地点を過ぎたとき、多くの人が理由のわからない「しんどさ」や「不安」に襲われる。そんな感情の変化を感じたことはありませんか?この不安の感情の乱れを「ミッドライフ・クライシス」と呼びます。
鎌田實氏の著書『ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』は、医師としての豊富な経験と、自身の人生を通して得た知見をもとに、この現象の正体を明らかにし、乗り越えるためのヒントを与えてくれる一冊です。
鎌田實氏の著書『ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』の概要について
本書はまず、「ミッドライフ・クライシス」が単なる気の持ちようではなく、誰にでも起こりうる人生の転機であることを教えてくれます。
特に40代後半から60代にかけての時期は、体力の衰え、仕事上の転換、家庭での役割の変化、親の介護や子の独立といった、多くのストレス要因が重なりやすい。鎌田氏は、こうした変化が心に与える影響を見逃さず、具体的な事例を通じて読者に寄り添います。
今回、『ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』を紹介する理由として、介護をされるご家族に知っていて欲しい1冊として取り上げました。
印象的なのは、「しんどさ」から逃げるのではなく、それを通して「自分にとって本当に大切なもの」に気づいていく姿勢です。
ミッドライフ・クライシスとは「第二の思春期」
鎌田氏は、ミッドライフ・クライシスを「第二の思春期」とも表現し、これはむしろ自分の生き方を再定義する好機だといいます。そのためには、まず自分の感情に正直になり、無理に強がらず、時には「助けを求める」ことの大切さを説いています。
また、本書では「孤独」と「つながり」の問題も深く掘り下げられていることも特徴の一つです。現代人は情報過多でありながら、心のつながりが希薄になりがちです。
ミッドライフ・クライシスの正体とは「社会的な孤立」だった?
中年期に感じる喪失感や虚無感は、実は「社会的な孤立」から来ていることもあると説明します。
この世代の方には、ご自身の親のお世話を経験されているかたも多いと思います。時に閉鎖的な空間と時間の中で精神的な負担は計り知れないと思います。
「ミッドライフ・クライシス」という言葉を知っているだけで、症状が当てはまるなら、一度、立ち止まって自分を省みても良いと思います。
鎌田氏は、地域社会とのつながり、ボランティア活動、趣味や仲間との交流などを通じて、「再び人とつながること」がこの時期を乗り越える鍵だと説きます。
さらに、医師ならではの視点で「体と心の関係」にも触れているところも注目です。加齢による体力やホルモンの変化は、精神面にも影響を与えます。
そのため、運動や食生活の改善、適度な休息も、メンタルの安定には不可欠だと述べる。身体の変化を「衰え」として否定的にとらえるのではなく、「これまでよく頑張ってきた証」として肯定的に受け入れる姿勢が大切だと強調しています。
具体的なアドバイスを示してくれる本
本書は、ただ「こうすればいい」と安易に処方箋を提示するのではなく、読者一人ひとりが「自分のしんどさ」と真剣に向き合い、それを通して自分の人生の意味を見出す手助けをしてくれます。鎌田氏の言葉は、どこまでも優しく、時に厳しく、読む者の胸に響きます。
ミッドライフ・クライシスを避けられない苦しみではなく、「新しい人生の扉を開くための入口」としてとらえ直す。この視点を持つだけでも、私たちの心は大きく軽くなるはずです。人生の中間点を生きるすべての人に、本書を静かに、しかし力強く薦めたい1冊です。
今後、介護世代のかたに対して、おすすめの本なども紹介できればと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
【さらに詳しく内容を知りたい方に】
https://yabiccho-san.com/wp-admin/post.php?post=1526&action=edit
沖縄では、あっという間に梅雨の時期も終わり早くも真夏本番です。最近は、灼熱の太陽と白い雲。そして、どこまでも広がる青空に心癒される日々を送っています。
季節の移り変わりとは関係なく、イデアでは介護支援専門員として、地域包括支援センター及び各指定居宅介護支援事業所共同開催として「事例検討会」に参加してきました。
実際の支援事例をもとに、多職種の視点から意見を交わすこの場は、ケアマネジメントの質を高める貴重な機会です。また、特定事業所加算の算定要件としても位置付けられており、制度的な観点からも重要性が増しています。
今回は、事例検討会の目的と概要を紹介します。
1. はじめに:事例検討会とは?
事例検討会は、介護支援専門員(ケアマネジャー)にとって、実践的な学びの場として非常に重要な位置づけにあります。
この勉強会の目的は、ケアマネジャーが実際の支援事例を持ち寄り、課題や対応策について多角的に検討することです。日々の業務ではなかなか得られない他者の視点や経験を取り入れることで、自らの支援の在り方を見直し、より質の高い支援につなげることができます。
特に、利用者のニーズが多様化・複雑化する中で、単独の判断だけでは適切な対応が難しい場面も増えています。そうしたケースに対して、事例検討会では多職種の意見や他のケアマネージャーの価値観に触れることができます。他のケアマネージャーさんの価値観にふれることで、判断の幅が広がるとともに、倫理的な課題に対する思考力や判断力も養われます。
今回の事例とは状況は違いますが・・・たとえば、本人の意思が確認しづらい場合や、家族との意見の食い違いがある場合など、倫理的ジレンマに直面した事例の検討を通じて、他の参加者の考え方やアプローチに学ぶことができます。
また、事例検討会はケアマネジャーにとっての“勉強会”としての機能も果たしています。日々の業務では習得しづらい新しい制度情報や支援技術、地域資源の活用方法などを共有する場でもあり、知識のアップデートにつながります。
加えて、医療職や福祉職など他職種との連携を意識した支援の考え方を学ぶ機会にもなり、チームアプローチの実践力が高まるのも大きな利点です。
このように、事例検討会はケアマネジャーの支援力を総合的に高める場であり、継続的な参加が専門性の向上につながります。
制度上も「事例検討会への参加」が特定事業所加算の要件に組み込まれていることからも、その意義の高さがうかがえます。単なる形式的な参加にとどまらず、実践的な学びを得る機会として積極的に活用することが求められています。
実際の事例検討会の様子
実際に参加した事例検討会は、終始真剣な雰囲気の中にも、学びや気づきの多い充実した時間となりました。
今回の勉強会では、まず1人のケアマネジャーが担当した支援事例を発表し、参加者全員でその内容をもとに検討を行う形式で進行されました。
発表者は、利用者の生活状況や支援経過、直面した課題、そして自身が取った対応について丁寧に説明されました。
その後、グループに分かれてディスカッションを行いました。グループには介護福祉士の基礎資格を持ったケアマネジャーだけでなく、基礎資格として看護師の資格を持ったケアマネージャーや社会福祉士の資格を持ったケアマネージャーさんも参加されていました。
また、地域包括支援センターの職員さんなども含まれており、さまざまな立場からの意見が出されました。ある参加者は、医療面の視点から「この時点で訪問看護との連携があればもっと早く対応できたのではないか」と指摘し、また別の参加者は「本人の意思確認の方法について、成年後見制度の利用も選択肢に入れてよかったかもしれない」といった提案をされていました。
ディスカッションの後は、全体で意見を共有する時間が設けられ、グループごとのまとめや新たな視点、共通する課題などが発表されました。個人的には、「自分の支援が正しいと思っていたことでも、他の視点から見ると改善の余地がある」ということに改めて気づかされ、大変学びの多い時間となりました。
特に、日常業務では他のケアマネと深く支援内容について意見を交わす機会が少ないため、こうした場で客観的なフィードバックを得られることの貴重さを実感しました。
また、事例検討を通じて、自分では気づけなかったリスクや支援方法の選択肢が明確になり、今後の業務に即活かせるヒントも多く得られました。
事例発表をされた方にとっても、意見をもらうことで自身の支援を振り返る機会になっていたようで、勉強会の終わりには「また事例を持ち寄りたい」との声も聞かれました。
このように、事例検討会は単なる意見交換にとどまらず、実務に直結する学びと振り返りの場であることを実感できました。今後も積極的に参加し、支援の質を高めていきたいと思います。
はじめに:BCPとは何か?ケアマネージャーに求められる理由
近年、自然災害や感染症のリスクが高まる中、介護現場でも業務継続計画(BCP)の策定が義務化され、ケアマネージャーに求められる役割が大きく変化しています。特に居宅介護支援事業所では、利用者の安全確保やサービス提供の維持が求められるため、BCPの策定と実践は喫緊の課題です。
本記事では、BCPの基本からケアマネージャーが実践できる具体策、他事業所の成功事例までをわかりやすく解説し、現場で活用できる知識と対応力を養うためのヒントをお届けします。実際にイデアでもBCP業務継続を元に勉強会を先日、開催しました。
その、勉強会の概要を紹介します。
2. BCP策定の基本ステップとポイント
BCP(業務継続計画)の策定は、非常時においてもサービスを「継続・再開」できる体制を整えるための重要な取り組みです。特に居宅介護支援事業所では、高齢者や要介護者といった災害弱者を支える立場であるため、計画的かつ実効性のあるBCPの策定が求められます。ここでは、ケアマネージャーが押さえておくべきBCP策定の基本ステップと、その際の重要ポイントについて解説します。
まず最初に行うべきは「リスクアセスメント」です。地震、台風、水害、感染症、停電、通信障害など、地域や事業所の特性に応じて、どのようなリスクが想定されるかを洗い出します。そのうえで、各リスクが業務に与える影響度を評価し、優先的に備えるべきリスクを明確にします。
次に「重要業務の特定と対応方針の策定」です。すべての業務を平常通り続けることは困難なため、最低限継続すべき業務(例:モニタリング、緊急時対応、介護サービス連携など)を定め、その業務を維持するための方法や代替手段を具体的に検討します。例えば、事業所が被災した場合の代替拠点、職員が出勤困難になった際の応援体制などが該当します。
三つ目は「体制の構築と役割分担」です。災害時の対応責任者や連絡係、情報収集担当など、職員の役割をあらかじめ明確にし、マニュアルや連絡体制を整備しておくことが重要です。また、非常用備品や連絡先リスト、支援者・関係機関のネットワーク情報もBCPに含めておきましょう。
最後に「訓練と見直しの実施」があります。BCPは作成しただけでは機能しません。年に1回以上の定期的な訓練(机上訓練・実働訓練)を行い、計画の実効性を検証します。その結果をもとに、課題の洗い出しや改善を行い、常に最新の状態を維持することが求められます。
BCP策定は一度で完璧に仕上げるものではなく、現場の実態や変化に応じて「運用しながら育てる計画」です。ケアマネージャーは、その中心的役割として、利用者の命と生活を守る仕組みづくりに主体的に関与していくことが期待されています。
3. ケアマネージャーができる具体的な取り組み
BCP(業務継続計画)の策定と運用において、ケアマネージャーが果たす役割は非常に重要です。災害や感染症などの非常時においても、利用者の安全と生活の質を守るためには、平時からの備えと実践的な取り組みが求められます。ここでは、ケアマネージャーが現場で実践できる具体的なアクションを紹介します。
1. 個別避難計画の作成と更新
要介護者は災害時の自力避難が困難な場合が多く、地域防災計画と連携した「個別避難計画」の整備が急務です。ケアマネージャーは、利用者の身体状況や生活環境、支援者の有無などを考慮し、避難支援計画の立案・記録・共有を行います。定期的な見直しも不可欠です。
2. 家族・関係者との情報共有
非常時に必要な連絡先、服薬情報、医療・介護の重要情報は、あらかじめ家族やサービス担当者会議などで共有しておくことが重要です。情報が即座に取り出せるよう、紙媒体やクラウドツールでの管理も有効です。
3. 地域や他事業所との連携体制の構築
BCPは単独の事業所で完結できるものではありません。地域包括支援センター、訪問介護、医療機関など他の関係機関と日頃から連携を深めておくことで、有事の際に協力体制がスムーズに機能します。地域の防災訓練やネットワーク会議に積極的に参加することも重要です。
4. ICTツールの活用による情報管理
災害時は紙の記録が失われる可能性もあるため、クラウド型のケアマネジメントシステムやグループウェアの導入により、情報のバックアップや遠隔からのアクセスを可能にします。緊急時の連絡網をスマートフォンアプリで管理する事例も増えています。
5. 職員間の役割分担と訓練の実施
ケアマネ自身だけでなく、事業所全体としてBCPを運用するためには、職員それぞれの役割や対応手順を明確にし、定期的な訓練を行うことが大切です。特に「ケアマネ1人体制」の事業所では、代替要員や応援体制の確保がカギとなります。
6. 利用者への啓発と安心づくり
利用者に対しても、BCPに基づく支援体制を丁寧に説明することで、安心感を提供できます。「非常時でも支援が継続される」ことを伝えることが、信頼関係の構築にもつながります。
ケアマネージャーは、介護サービスの中核を担う存在です。日常業務の延長線上で、これらの取り組みを少しずつ取り入れることが、災害時の対応力を大きく向上させます。今できることから始める姿勢が、BCPの成功のカギです。
6. まとめ:BCP策定を通じて目指すべきケアマネージャーの姿
BCP策定は、非常時においても利用者の生活と命を守るための“備え”であり、ケアマネージャーの専門性を活かす絶好の機会です。災害や感染症などの予期せぬ事態に備え、平時からの計画立案や関係機関との連携、訓練の実施を通じて、利用者に「安心」と「信頼」を提供することができます。単なる書類作成に留まらず、現場に根ざした実践力と判断力を備えたケアマネージャーこそ、地域包括ケアの要としてこれからの時代に求められる存在です。今年度、初回のBCP業務継続計画を元に研修を行いました。
今後も、地域に資するような地域ケアマネジメントを構築してきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本日、指定居宅介護支援事業所イデア内にて、勉強会「虐待防止について」と併せて、虐待防止委員会を開催しました。令和6年度から、介護サービス事業所では高齢者虐待防止の推進に関する新たな基準の経過措置が終わり、いよいよ完全に義務化されます。
今回は、「虐待防止委員会」とは何か?について解説していきたいと思います。
令和3年度の介護報酬改定のポイントのひとつとして、「高齢者虐待防止の推進」が挙げられていました。高齢者虐待防止への指針については、日本における高齢化率への上昇と共に、虐待件数の増加が背景に挙げられます。
厚生労働省の調査によると、2021年度の介護施設職員による高齢者虐待と判断された件数は739件で、虐待を受けた高齢者は1,366人でした。また、相談・通報件数も2,390件で過去最多となりました。
虐待があったのは特別養護老人ホーム(30.9%)、有料老人ホーム(29.5%)、認知症グループホーム(13.5%)の順に多く、虐待した職員965人の8割が介護職でした。
虐待の内容としては「身体的虐待(51.5%)」「心理的虐待(38.1%)」「介護放棄(23.9%)」の順に多く、全体の24.3%で身体拘束もありました。
虐待理由の上位は「教育・知識・介護技術の問題」「虐待を助長する組織風土」「職員のストレス」となっています。
一方、相談・通報者は2,713人で、施設職員(29.8%)、管理者(16.3%、)、家族・親族(13.2%)の順に多くなっています。
出典:厚生労働省「令和 3 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果(添付資料)」
引用記事:令和6年度から全介護施設で高齢者虐待防止の推進が義務化!概要や取り組み方について解説
令和6年度までの3年間を経過措置としており、全介護サービス事業所が虐待防止に向けた取り組みを実施していかなければならないとされています。
虐待防止委員会について
指定居宅介護支援事業所イデアでの虐待防止委員会の開催内容について、議事録を元に「虐待防止委員会」の内容について解説します。以下、引用として「第3回/虐待防止委員会」より抜粋
開催日時:令和7年4月14日
場所:指定居宅介護支援事業所イデア 相談室
参加者(役職):屋比久秀雄(管理者)・他全職員
検討事項について
1:虐待委員会の他事業所内の組織に関すること
2:虐待防止のための指針の整備に関すること
3:虐待防止のための職員研修の内容(実施時期)について
4:虐待防止について、従業者が相談・報告できる体制整備に関して
5:その他、課題や次回の開催時期について
1:虐待防止委員会の他事業所内の組織に関すること
・管理者、屋比久秀雄が委員長として委員会を開催。
・外部協力として地域包括支援センター安里・安謝・居宅介護支援事業所共同開催勉強会へ参加予定を予定。
・別法人の居宅介護支援事業所との連携を図る(現在、他居宅介護支援事業所へ打診中)
・家族代表に関しては、継続して○○様のご家族へ依頼する(個人情報保護の観点から利用者名を伏字とする)。
2:虐待防止のための指針の整備に関すること
・指針及びマニュアルを整備、事業所内に閲覧可能として掲示する。又、ホームページでも引き続き、閲覧可能な体制に努める。
3:虐待防止のための職員研修の内容(実施時期)について
・マニュアルを元に年1回は実施予定(本日、4月14日実施済み)
・新入社員の入社時(令和7年7月に入社研修に併せて実施予定)など
・都度、外部研修や事例検討会などの案内があれば職員を派遣する。
4:虐待防止について、従業者が相談・報告できる体制整備に関して
・組織図を元に体制整備を行う。外部協力や家族代表などの選定や変更があれば都度、変更を行う。
5:課題や次回開催時期について
・次回開催に時期に関しては虐待防止勉強会後に開催。(時期は後日調整)
という訳で、「虐待防止委員会」の議事録に基づいて、紹介しました。具体的な内容に関してはホームページ内の『高齢者虐待防止への指針』を参照ください。
新年度を迎え、慌ただしい日々が続きますが、体調を崩しませぬようお過ごしください。
こんにちは。今回も、イデアのブログをお読みいただきありがとうございます。
今回は、「在宅ワークという働きかたは気になるけれど、仕事の頑張りはどのように評価されるのか?」と、気になりませんか?
イデアの人事考課とは?
イデアでは、「ハイブリッドワーク(在宅ワークと事務所への出勤が選べる)」を採用しています。その、頑張りに応じて、「インセンティブ評価」や個人の業務態度(遅刻・欠勤・業務態度)などの評価に応じて人事考課を行い、「賞与額の加算」や「基本給の昇給」を行っています。
今回は、イデアでの「働きかた」と「人事考課」をテーマに記事を書きました。
「評価(インセンティブ)手当」という考え方
イデアでは、職員の勤務に対する頑張りを、実際に業績や成果に基づいて評価しています。「評価(インセンティブ)手当」という形で支給しています。
「評価(インセンティブ)手当」とは何か?と、具体的に言うと、ケアマネージャーが受け持つ「担当件数」を個人の努力として評価するシステムです。
この考え方は、目に見える努力や頑張りを成果として評価する「成果主義」と呼ばれます。成果主義とは、頑張った分の努力が「成果」として、自分への報酬として反映されるためモチベーションアップにつながる施策だと言えます。
一方で、「成果主義」にはメリットやデメリットがあります。
成果主義のメリット
イデアでは、担当件数33件以上の担当件数を持つと、1件あたり¥3000円が加算される「評価(インセンティブ)手当」という、仕組みを取っています。加算された手当は夏季と冬季賞与時に支給される流れになります。
毎月、35件の担当件数を6カ月維持できれば、「評価(インセンティブ)手当:①」(¥3.000)×「該当件数:②」(3件)×「期間6カ月:③」=「手当額:④」になります
(例)上記の説明を元に計算すると・・・
(①)3.000 × (②)3 × (③)6 = (④)54.000円が「評価(インセンティブ)手当」になります。賞与額に手当が上乗せされて支給されます。
※詳しくはサイト内「求人情報」を参照
成果主義のデメリット
業務として、単純に件数を持てばよいのではなく、担当利用者やそのご家族への継続的なフォローアップや必要に応じてサービス調整などが必要になります。もうひとつ大事なポイントとして「記録を残す」うえで書類作成も業務の一つです。短期的な視点から成果にとらわれると、かえってストレスや負担を増やす結果になりかねません。
さいごに
イデアでは、ハイブリッドワーク(出社と在宅ワークが可能)を採用しています。在宅ワークが増加する中、仕事の評価をどのように実施するかは重要な課題となっています。従来のオフィス勤務とは異なり、在宅ワークでは直接の監督や同僚との対面でのコミュニケーションが少ないため、評価の方法にも工夫が求められます。
「担当件数」や「研修への参加」など「見える業務内容」を評価すると同時に、「事務所の雰囲気つくりに貢献する」や「前向きに業務に取り組む態度」など「目にみえない部分」も評価し昇給への人事考課に繋げていきます。
ブログ記事をお読みくださりありがとうございます。先日、那覇市内の地域包括支援センター主催で実施された「身体拘束に関する研修」へ参加してきました。
グループワークも含めて、とても良い研修でした。今回は研修の振り返りと併せて身体拘束に関する基本的な知識を書いていこうと思います。
1:日本における身体拘束についての法整備の歴史について
日本における高齢者の身体拘束に関する法整備の歴史は、長い年月をかけて進化してきました。1950年に施行された「精神衛生法」が最初の法整備であり、精神障害者の保護と治療を目的としていました。しかし、この法律は高齢者の身体拘束に関する具体的な規定を含んでいませんでした。
その後、1970年に「精神保健及び福祉に関する法律」(精神保健福祉法)が制定され、精神障害者の権利保護と福祉の向上が強調されました。この法律では、身体拘束の条件や手続きについても規定されており、高齢者の身体拘束に関する基準が明確になりました。
1995年には「高齢者の虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)が施行され、高齢者の身体拘束に関する規制がさらに強化されました。この法律では、高齢者の身体拘束が適正な手続きを経て行われることが求められ、また、身体拘束の理由や期間についても厳格な基準が設けられました。
2000年には「障害者虐待防止法」が制定され、障害者全般に対する身体拘束の規制が強化されました。この法律では、身体拘束が最後の手段として行われることが明確にされ、高齢者の身体拘束に関する基準がさらに厳格化されました。
最近では、2016年に「高齢者虐待防止法」が改正され、高齢者の身体拘束に関する規制がさらに強化されました。この改正法では、身体拘束の理由や期間についての基準がさらに厳格化され、高齢者の権利保護が強化されました。
※POINT:2000(平成12)年4月から介護保険法が施行されたことにより身体拘束は原則禁止になった
※引用:「Microsoft Copilot」・太字は作成者加筆
2:身体拘束の対象となる具体的な行為11項目について
介護保険法における身体拘束の対象となる具体的な行為は以下の通りです
1)徘徊しないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
2)転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
3)自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
4)点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
5)点滴。経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等を付ける。
6)車いすや椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y時型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルを付ける。
7)立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する。
8)脱衣やおむつ外しを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
9)他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。
10)行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
11)自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。
※厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」2001年を一部改へん・太字は作成者加筆
3:身体拘束ゼロ作戦とは
2001(平成13)年3月に開かれた、厚生労働省「第2回身体拘束ゼロ作戦推進会議では、『身体拘束ゼロへの手引き』が作成されました。これによると、身体拘束が認められるためには、①切迫性、②非代替性、③一時性、の3つの要件がすべて満たされていなければならないとされており、本人・家族・家族にかかわっている関係者・関係機関全員で検討、確認し記録しておくことが求められるとしています。
①切迫性 :本人または他の利用者などの生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。
②非代替性:身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する方法がないこと
③一時性 :身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること
POINT:3つの要件の確認は、本人の尊厳を守るためのプロセスである!
※厚生労働省「身体拘束廃止・防止への手引き~令和6年3月~」より引用、一部改へん
4:身体拘束禁止への取り組みが介護(ケア)への質にどのように影響を与えるか?
介護保険法の身体拘束禁止は、介護の質に多角的な影響を与えています。具体的には以下のような影響が見られます
1:尊厳と自立の尊重:身体拘束の禁止は、高齢者の尊厳と自立を守ることに繋がります。これにより、高齢者が自尊心を持ち、より自立した生活を送ることができるようになります。自由な生活環境は精神的な健康にも寄与します。
2:個別ケアの強化:身体拘束が禁止されることで、介護施設は個別ケアの質を向上させる必要があります。高齢者一人ひとりのニーズに応じたケアプランが求められ、細やかな配慮が行われるようになります。
3:職員のスキル向上:身体拘束を避けるための知識と技術が求められるため、介護職員のスキル向上が促進されます。これには、認知症ケアやコミュニケーション技術の向上が含まれます。結果として、より質の高いケアが提供されるようになります。
4:介護環境の改善:身体拘束を防ぐためには、安全かつ快適な介護環境の整備が必要です。例えば、転倒防止のための設備導入や、適切な介護用具の使用が進められます。これにより、介護施設全体の環境が改善されます。
5:倫理的・法的意識の向上:身体拘束禁止は、介護従事者や施設運営者の倫理的・法的意識の向上にも寄与します。法規制を遵守することで、介護施設の信頼性が向上し、利用者や家族の安心感が増します。
これらの影響により、介護保険法の身体拘束禁止は、高齢者の生活の質を向上させ、介護サービス全体の質の向上に繋がっています。今後も、この法律の遵守が続くことで、さらに多くの高齢者が安心して生活できる環境が整備されることが期待されています。
※引用:「Microsoft Copilot」・太字は作成者加筆
5:身体拘束を無くすための介護者としてのコミュニケーションの基本技能
身体拘束廃止への取り組みは、高齢者の生活の質を向上させ、介護サービス全体の質の向上に繋がっています。ここでは介護者としてのコミュニケーションの基本技能を説明します
①「自己覚知」の重要性
・良好な人間関係をつくるためには、まず自分をしるという「自己覚知」と、利用者をよく知ることが重要であり、基本である
②「傾聴」の重要性
・利用者を知るためには、利用者の生きてきた歴史や生活習慣、教育や価値観、身体状況、心理状態などを理解することである。その為には、まず利用者の話や訴えを聴くという傾聴技能が必要になる
③「共感的態度」の重要性
・共感とは、利用者の示す感情表現ではなく、表出しない感情にも心を寄せ、その思いを共有することである
※医療法人おもと会 沖縄リハビリテーション福祉学院「身体拘束に関する基本の知識」より引用、一部加筆しました。
6:さいごに
身体拘束に関する研修に参加して、共感できた部分が「介護者としてのコミュニケーションの基本技能」でした。基本的に利用者のケアにあたる機会は少ないのですが、①「自己覚知」の重要性②「傾聴」の重要性③「共感的態度」の重要性は介護者だけではなくケアマネージャーとしても、利用者との対人援助技術でもっとも大切な技能であると思います。
利用者とのコミュニケーションを通じて「身体拘束をしない環境」をいかに作るべきか考えさせられた研修でした。
1.序章
こんにちは!この記事では「自宅での介護環境の整え方:ケアマネージャーの提案」についてご紹介します。
介護を必要とする家族がいる方々にとって、安心して生活できる環境を整えることは大変重要です。
「転倒による骨折で入院してしまったことをきっかけに介護が始まった」など、高齢者による転倒事故は寝たきりになるリスクをはらんでいます。
この記事では、ケアマネージャーが提案する具体的な方法やポイントをまとめています。日常生活の問題点を把握し、適切な福祉用具や介護サービスを活用することで、介護の負担を軽減し、より快適な生活を実現するお手伝いができれば幸いです。
自宅での介護は、高齢者や障害を持つ方々が住み慣れた場所で安心して生活を続けるために非常に重要な環境と言えます。
家族が身近にいることで、精神的な安心感や孤独感の軽減が期待できます。また、住環境の変化が少ないため、生活のリズムや習慣を維持しやすいという利点もあります。
入院や施設入所といった環境の変化によって精神的なストレスから認知症などを発症してしまったというケースからもわかる様に「住み慣れた環境で暮らせる」と言う介護条件は利用者にとってメリットの1つとも言えます。
しかし、家庭での介護には多くの課題も伴います。まず、家族の介護負担が大きくなりがちで、心身の疲労やストレスが溜まりやすい点が挙げられます。
さらに、住宅の構造がバリアフリーに適していない場合、事故や転倒のリスクが高まることがあります。また、介護の専門知識や技術が不足している場合、適切なケアを提供することが難しくなることも課題です。
これらの課題を解決するためには、ケアマネージャーとの連携が重要です。彼らの専門知識を活用することで、福祉用具の導入や住宅改修、介護サービスの利用など、適切な対策を講じることができます。
2.自宅環境の安全対策
自宅環境を整えるうえでいくつかのポイントをあげてみました。
特にバスルームやキッチンなどの滑りやすい場所に滑り止めマットを敷くことで、滑りや転倒のリスクを減らすことができます。階段や廊下、バスルームなどの危険な場所に手すりを取り付けることで、支えを提供し、転倒を防ぎます。併せて、室内の段差を解消するためにスロープや段差プレートを設置することで、つまづきによる転倒リスクを軽減します。
照明を増やし、特に夜間の視認性を高めることで、転倒事故を防ぎます。
ちょっとした、家具の配置に関しては、位置を変更することで自宅の動線を短くすることができたりもします。また、家具を移動の動線上に置くことで手すり代わりにする。余計な荷物を片づける、コンセントをまとめるなど、自宅にあるものを工夫するだけでも安全対策になります。
※POINT:介護保険の要支援または要介護認定をお持ちの方で、在宅での生活のために住宅改修を行う場合、20万円までの改修費用に対して自己負担割合に応じた介護保険の給付が受けられます。各自治体によって申請手続きが違います。担当ケアマネージャーに一度、相談してみてください。
3.介護用具の選び方と使い方
利用者本人の心身の状況に併せて福祉用具を選ぶことが重要です。「転倒事故が怖いから」と言って、歩ける能力があるのにも関わらず車いすを利用をしてしまうと、利用者の「歩ける能力」を奪ってしまうことにもつながりかねません。
福祉用具のレンタルを検討する際には担当ケアマネージャーに一度、ご相談してみることをお勧めします。
ここでは、介護保険でレンタル(貸与)できる項目の中からいくつか紹介します。
介護ベッドの選び方としては、利用者の体格や健康状態に合ったサイズと機能を選ぶことが重要です。例えば、高齢者や身体が不自由な人には、背上げ機能や高さ調整機能が付いたベッドが適しています。また、設置場所としては、利用者が安心して使える明るく、通気の良い場所を選ぶことが大切です。ベッドの周りには必要最低限の家具を置き、移動がスムーズにできるようにすることも重要です。
車椅子:利用者の体格に合ったサイズを選び、クッション性のある座席や背もたれを確認しましょう。軽量で折りたたみ可能なタイプも便利です。使い方としては、ブレーキの位置や操作方法を確認し、段差や坂道を安全に移動するための練習が必要です。
歩行器:安定性の高いタイプを選び、ハンドルの高さが適切であることを確認します。ゴム製の脚先が滑り止め効果を持っているかも重要です。使い方としては、直立姿勢で歩行器を前方に押し進め、適切なタイミングで足を運ぶ練習をします。
これらの用具を使用することで利用者の自立を促進し安全に介助を行うことができます。
4.メンタルヘルスとサポート体制
家庭での介護には多くの課題も伴います。まず、家族の介護負担が大きくなりがちで、心身の疲労やストレスが溜まりやすい点が挙げられます。
お話しをお聞きすると、いまだに「家族が介護をするものだ」と思っている方もいらっしゃいます。介護疲れは利用者にとっても介護をされる家族にも悪影響を及ぼします。
ポイントとしては、家族の役割を明確にする、家族の介護負担を軽減するために介護サービスを利用するなど、介護を始めた段階から、担当ケアマネージャーに相談することを強くお勧めします。
【関連記事:ケアマネージャーが思う介護をするうえで家族の役割3つ】
5.終章
という訳で、自宅での介護環境を整えるためには、ケアマネージャーと連携し、福祉用具の導入や住宅改修、介護サービスの利用など、適切な対策を講じることが重要ということを説明してきました。又、介護をされる家族への介護負担も含めてケアマネージャーに相談されてください。
安心して介護を続けられる環境を作りましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。