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目次
――荒木俊哉『こうやって頭のなかを言語化する。』を読んで
「頭の中ではわかっているのに、うまく言葉にできない」
これは多くの人が抱える悩みです。特にケアマネジャーは、利用者や家族、多職種と関わりながら支援を調整する仕事。状況を整理して伝える力=言語化力が欠かせません。
電通のコピーライター荒木俊哉氏の著書『こうやって頭のなかを言語化する。』は、この「言語化の壁」を突破するための実践的な方法を提示しています。本記事では、荒木氏のメソッドを紹介しながら、ケアマネジャーの仕事にどう活かせるかを考えてみます。
荒木俊哉氏は、数々の広告賞を受賞するコピーライターでありながら、実はもともと言語化が苦手だったと告白しています。会議での発言に苦労し、挫折を経験。そこから「言語化は才能ではなくスキルである」と確信し、独自の方法を磨き上げました。
さらに国家資格キャリアコンサルタントとして、人が言葉にできず苦しむ姿に触れた経験も本書執筆の動機となっています。
荒木氏が提唱するのが、「1日3分×5日間」で効果を実感できる「言語化ノート術」。特別な道具も不要で、紙とペンさえあれば始められます。
・「新規の案件を契約につなげた」→「自信がついた」
・感情の良し悪しを判断せず、そのまま記録する。
・「のはなぜか?」と問いかけ、3分間で思いついたことを5つ以上書く。
・大切なのは「自分で自分の話を聞く」姿勢。
・繰り返し出てきた言葉に印をつけ、今の自分に一番しっくりくる一言を右上にまとめる。
・例:「契約が決まり、仕事が認められた実感が自信につながった」
この3ステップを繰り返すことで、モヤモヤが整理され、思考が明確になっていきます。
荒木氏は、言語化の土台は「話す力」や「書く力」ではなく**「聞く力」**だと強調します。
ここでいう「聞く」とは他人の話だけでなく、自分の心の中にある小さな違和感や感情の断片をキャッチする力を指します。
ケアマネジャーの現場でも、利用者のちょっとした表情や言葉の裏にある感情を「聞き取る」ことが支援の第一歩。その感覚を自分自身にも向けることが、言語化を鍛えるトレーニングになります。
本書で示される効果は、ケアマネジャーの業務にも直結します。
思考や感情を整理し、わかりやすく伝えられる
自己理解が深まり、支援方針の判断に自信が持てる
感情のコントロールができ、冷静に対応できる
利用者や家族の「本音」に寄り添う力が増す
問題解決や意思決定のスピードが上がる
まさに、利用者の生活を支えるケアマネジメントの実践力そのものです。
言語化は完璧な文章を書くことではありません。
まずは「言葉にしてみる」ことから始まります。
荒木俊哉氏の『こうやって頭のなかを言語化する。』は、ケアマネジャーが日々の業務に役立てられるシンプルで実践的なヒントに満ちています。
日々の支援記録や会議メモに、この「言語化ノート術」を取り入れてみることで、利用者への理解も深まり、多職種連携もスムーズになるでしょう。