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【本の紹介】40代後半から50代にかけて襲う「しんどさの正体」について

「しんどさの正体」ミッドライフクライシスとは?

 人生の折り返し地点を過ぎたとき、多くの人が理由のわからない「しんどさ」や「不安」に襲われる。そんな感情の変化を感じたことはありませんか?この不安の感情の乱れを「ミッドライフ・クライシス」と呼びます。

 鎌田實氏の著書『ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』は、医師としての豊富な経験と、自身の人生を通して得た知見をもとに、この現象の正体を明らかにし、乗り越えるためのヒントを与えてくれる一冊です。

 鎌田實氏の著書『ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』の概要について

 本書はまず、「ミッドライフ・クライシス」が単なる気の持ちようではなく、誰にでも起こりうる人生の転機であることを教えてくれます。

 特に40代後半から60代にかけての時期は、体力の衰え、仕事上の転換家庭での役割の変化、親の介護子の独立といった、多くのストレス要因が重なりやすい。鎌田氏は、こうした変化が心に与える影響を見逃さず、具体的な事例を通じて読者に寄り添います。

 今回、『ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』を紹介する理由として、介護をされるご家族に知っていて欲しい1冊として取り上げました。

 印象的なのは、「しんどさ」から逃げるのではなく、それを通して「自分にとって本当に大切なもの」に気づいていく姿勢です。

ミッドライフ・クライシスとは「第二の思春期」

 鎌田氏は、ミッドライフ・クライシスを「第二の思春期」とも表現し、これはむしろ自分の生き方を再定義する好機だといいます。そのためには、まず自分の感情に正直になり、無理に強がらず、時には「助けを求める」ことの大切さを説いています。

 また、本書では「孤独」「つながり」の問題も深く掘り下げられていることも特徴の一つです。現代人は情報過多でありながら、心のつながりが希薄になりがちです。

ミッドライフ・クライシスの正体とは「社会的な孤立」だった?

 中年期に感じる喪失感や虚無感は、実は「社会的な孤立」から来ていることもあると説明します。

 この世代の方には、ご自身の親のお世話を経験されているかたも多いと思います。時に閉鎖的な空間と時間の中で精神的な負担は計り知れないと思います。

 「ミッドライフ・クライシス」という言葉を知っているだけで、症状が当てはまるなら、一度、立ち止まって自分を省みても良いと思います。

 鎌田氏は、地域社会とのつながり、ボランティア活動、趣味や仲間との交流などを通じて、「再び人とつながること」がこの時期を乗り越える鍵だと説きます。

 さらに、医師ならではの視点で「体と心の関係」にも触れているところも注目です。加齢による体力やホルモンの変化は、精神面にも影響を与えます。

 そのため、運動や食生活の改善、適度な休息も、メンタルの安定には不可欠だと述べる。身体の変化を「衰え」として否定的にとらえるのではなく、「これまでよく頑張ってきた証」として肯定的に受け入れる姿勢が大切だと強調しています。

具体的なアドバイスを示してくれる本

 本書は、ただ「こうすればいい」と安易に処方箋を提示するのではなく、読者一人ひとりが「自分のしんどさ」と真剣に向き合い、それを通して自分の人生の意味を見出す手助けをしてくれます。鎌田氏の言葉は、どこまでも優しく、時に厳しく、読む者の胸に響きます。

 ミッドライフ・クライシスを避けられない苦しみではなく、「新しい人生の扉を開くための入口」としてとらえ直す。この視点を持つだけでも、私たちの心は大きく軽くなるはずです。人生の中間点を生きるすべての人に、本書を静かに、しかし力強く薦めたい1冊です。

 今後、介護世代のかたに対して、おすすめの本なども紹介できればと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

【さらに詳しく内容を知りたい方に】

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