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介護現場のハラスメント対策と職員を守る仕組みについて

指定居宅介護支援事業所イデアでは、2026年9月17日、職員を対象に「ハラスメント防止に関する研修」を実施しました。

介護やケアマネジメントは、人と人との信頼関係によって成り立つ仕事です。その一方で、職員間のハラスメントや、利用者・家族等からの暴言、威圧的な言動、過剰な要求などが、職員の心身と支援の継続性を損なうことがあります。

今回の研修では、事業所の指針・マニュアルを読み合わせ、相談窓口、事実確認、記録、再発防止までの流れを確認しました。

結論は明確です。ハラスメントを一人で抱え込ませず、事業所として組織的に対応することが、職員を守り、利用者に安定した支援を届けることにつながります。

1.介護現場で考えるハラスメントとは

 介護現場では、職場内のパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントに加え、利用者・家族等から職員に向けられる行為にも注意が必要です。

厚生労働省の介護現場向けマニュアルでは、身体的暴力、精神的暴力、セクシュアルハラスメントを介護現場におけるハラスメントとして整理しています。

 

①:身体的暴力 物を投げる、蹴る、唾を吐くなど

②:精神的暴力 怒鳴る、人格を傷つける、威圧する、理不尽な要求を繰り返すなど

③:性的な言動 必要なく身体に触れる、性的な話や誘いかけを行うなど

 

ただし、利用者・家族からの苦情や要望が、すべてカスタマーハラスメントになるわけではありません。

サービスへの正当な意見は丁寧に受け止め、改善につなげる必要があります。

 

その内容や手段・態様が社会通念上許容される範囲を超え、職員の就業環境を害するかどうかを、経緯、頻度、継続性、支援状況なども含めて客観的に判断します。

2.居宅介護支援事業所に求められるハラスメント対策

 指定居宅介護支援等の運営基準第19条第4項では、性的な言動や、優越的な関係を背景とした業務上必要かつ相当な範囲を超える言動により、介護支援専門員の就業環境が害されないよう、方針の明確化など必要な措置を講じることが求められています。

また、改正労働施策総合推進法に基づき、2026年10月1日からカスタマーハラスメント対策が全事業主の義務になります。

事業主の方針の明確化と周知、相談体制の整備、発生後の迅速かつ適切な対応、悪質な行為を抑止するための体制、プライバシー保護、相談を理由とする不利益取扱いの禁止などが重要です。

3.イデアの研修で確認した6つの取り組み

①:相談窓口を明確にする 男性・女性それぞれの相談窓口を設け、職員が相談先に迷わないよう周知します。

②:一人で抱え込まない 事案が起きたときは管理者へ速やかに報告し、担当者だけに対応を任せません。

③:具体的な事実を記録する いつ、どこで、誰から、どのような言動があり、どう対応したのかを客観的に残します。

④:職員の安全を優先する 暴力や深刻な威圧がある場合は、支援の継続だけを優先せず、距離の確保や関係機関との連携を検討します。

⑤:研修を継続する 年1回の定期研修に加え、新規採用時にも相談体制と対応方法を説明します。

⑥:指針とマニュアルを見直す 事例を再発防止に生かし、実際に機能する手順へ定期的に更新します。

4.相談を受けたときの基本的な対応

 

※ハラスメントの相談を受けた時の流れについて(左から右への流れで対応します)

 

①相談受付 → ②事実確認 → ③判断と検討 → ④環境調整 → ⑤再発防止

 

相談者の感じた不快感や不安を軽視せず、まず丁寧に話を聴きます。そのうえで、行為者側の認識だけで結論づけず、関係者から必要な情報を集め、客観的に事実を確認します。

 相談者のプライバシーを守り、相談や協力を理由に不利益な取扱いが生じないようにすることも欠かせません。

5.認知症等の症状とハラスメントを一律に扱わない

 介護現場では、

・認知症の行動

・心理症状

・病気・障害の影響

による言動がみられることがあります。

厚生労働省のマニュアルは、こうした症状として現れた言動を単純にハラスメントとせず、医療的・ケア的な視点から対応する必要があるとしています。

一方で、症状が背景にある場合でも、職員の安全確保が不要になるわけではありません。

主治医、サービス事業所、地域包括支援センター、行政等と情報を共有し、複数名での対応や訪問方法の見直しなど、支援と安全の両方を考えます。

6.苦情対応と職員保護を両立する

 ケアマネジャーには、相手の怒りや強い言葉だけを見るのではなく、

「なぜこの訴えになっているのか」

「本人や家族は何に困っているのか」

を確認する役割があります。

サービス内容への誤解、介護負担、経済的不安、病状の変化など、解決できる生活課題が隠れていることもあります。

しかし、背景を理解することと、暴言や暴力を受け続けることは別です。

正当な苦情には誠実に対応しつつ、許容範囲を超える行為には組織として線引きを行い、必要に応じて支援体制や連絡方法を調整します。

契約の解除やサービス終了を検討する場合は、正当な理由や個別事情を慎重に確認し、行政や専門家へ相談しながら進める必要があります。

7.安心して相談できる事業所を目指して

 指定居宅介護支援事業所イデアは、利用者・家族の尊厳と、働く職員の安全・尊厳のどちらも大切にします。

相談があったときは、事実を丁寧に確認し、管理者を中心に組織的に対応します。今後も相談窓口の周知、事例の記録、定期研修、指針・マニュアルの見直しを継続し、安心して介護相談を受けられる環境づくりに取り組みます。

介護やケアマネジメントについてお困りのことがありましたら、指定居宅介護支援事業所イデアまでご相談ください。

8.よくある質問

質問①:利用者や家族からの苦情はハラスメントですか

 苦情や要望のすべてがハラスメントではありません。正当な申入れは内容を確認し、必要な改善につなげます。要求内容や言動の手段・態様が社会通念上許容される範囲を超え、職員の就業環境を害する場合に、カスタマーハラスメントに該当し得ます。

 

質問②:認知症による暴言や暴力もハラスメントですか

 認知症等の症状として現れた言動は、単純にハラスメントと決めつけず、医療・ケアの視点で評価します。ただし、職員の安全を守る対策は必要であり、主治医や関係機関と連携して対応します。

質問③:介護職員がハラスメントを受けたらどうしますか

 その場の安全を確保したうえで、管理者や相談窓口へ報告し、日時、場所、相手、具体的な言動、対応経過を記録します。事業所は事実確認を行い、被害を受けた職員への配慮、環境調整、再発防止を組織的に進めます。

参考資料

厚生労働省 介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル 令和8年度改訂版

厚生労働省 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準

※記事内容は2026年9月16日時点の公的資料に基づく一般的な情報です。個別事案の法的判断は、行政機関、労働局、弁護士等の専門家へご相談ください。