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成年後見制度はどう変わる?― ケアマネが知っておきたい制度改正と身元保証サービスの使い分け ―

高齢化の進行とともに、私たちケアマネジャーの現場では

  • 身寄りのない高齢者
  • 判断能力が低下している高齢者
  • 施設入所の保証人がいない高齢者

への対応が増えています。

こうした状況の中で重要になるのが

成年後見制度身元保証サービスです。

2026年3月、成年後見制度の改正に関するセミナーに参加する機会がありました。
今回はその内容をもとに、ケアマネジャーとして押さえておきたい

  • 成年後見制度の課題
  • 改正の方向性
  • 身元保証サービスとの違い
  • 現場での使い分け

について整理します。

成年後見制度の現状と課題

成年後見制度は2000年にスタートしました。
しかし現在、大きな課題が指摘されています。

認知症高齢者は年々増えていますが、
制度の利用率は

約3.8%

にとどまっています。

つまり、

必要な人に制度が届いていない

という現状があります。

その原因として指摘されているのが
制度の「硬直性」です。

成年後見制度の「3つの硬直性」

制度が使いづらい理由として、次の3つがよく挙げられます。

一度始めると終わらない

成年後見制度は、原則として

本人が亡くなるまで終了できません。

例えば

  • 相続手続きのためだけに使いたい
  • 不動産売却のためだけに使いたい

という場合でも、

制度はその後も継続します。

この点が利用のハードルになっています。

後見人を交代しにくい

後見人の変更には
家庭裁判所の判断が必要です。

そのため

  • 相性が合わない
  • 支援の内容を変えたい

といった場合でも
簡単には変更できません。

後見人の権限が強い

成年後見人には

  • 代理権
  • 取消権

が認められています。

これは本人を守るための制度ですが、
一方で

本人の自己決定を制限する可能性

もあります。

成年後見制度改正の方向性

今回の制度改正では、

「本人の自己決定の尊重」
「柔軟な制度運用」

を重視した見直しが検討されています。

主なポイントを見ていきます。

制度は「スポット利用型」に変わる可能性

改正の大きなポイントは

必要な時に必要な範囲だけ利用する制度

への転換です。

これまでの制度は

「一度始めたら死亡まで」

でしたが、

改正後は

  • 相続手続き
  • 不動産売却
  • 財産整理

など

特定の目的が終われば制度を終了できる

可能性があります。

これは利用者にとって
非常に大きな変化です。

制度類型は一本化される予定

現在の成年後見制度には

  • 後見
  • 保佐
  • 補助

の3つの類型があります。

しかし実際には

「どれを選べばよいのか分かりにくい」

という声も多くあります。

そのため改正では

補助型に一本化

する方向が示されています。

制度をシンプルにすることで
利用しやすくする狙いがあります。

後見人の権限も個別設定へ

これまでの制度では
後見人に包括的な権限が与えられることが多くありました。

しかし改正後は

  • 必要な権限だけ付与
  • 個別に設定

という形になる予定です。

例えば

  • 財産管理だけ
  • 不動産売却だけ

といった

限定的な支援が可能になります。

後見人の交代も柔軟に

改正では

  • 本人の利益のため必要な場合
  • 後見人の交代が可能

とする方向です。

また、

後見人選任時に本人の意見を考慮する

ことも明文化される予定です。

成年後見制度と身元保証サービスの違い

高齢者支援の現場では、

成年後見制度と身元保証サービスの違い

を理解することがとても重要です。

両者は目的が大きく異なります。

成年後見制度

対象
判断能力が低下した後

主な役割は

  • 財産管理
  • 契約代理
  • 施設入所契約
  • 身上保護

つまり

法律的な代理制度

です。

身元保証サービス

対象
元気なうちから利用可能

主な支援内容

  • 入院・施設入所の保証人
  • 緊急時対応
  • 生活支援
  • 死後事務(葬儀・遺品整理)

これは

生活支援サービス

と言えます。

現場での使い分け

ケアマネとして重要なのは
この2つの制度の使い分けです。

身元保証サービスが適するケース

次のようなケースでは
身元保証サービスが有効です。

  • 判断能力は問題ない
  • 身元保証人がいない
  • 将来の葬儀や死後事務を準備したい
  • 日常生活の支援を受けたい

成年後見制度が必要なケース

次のような状況では
成年後見制度の利用が必要になります。

  • 認知症などで判断能力が低下
  • 契約行為ができない
  • 財産管理が困難
  • 契約取消権が必要

実は「併用」が多い

現場では

成年後見制度+身元保証サービス

の併用も多くあります。

例えば

  • 判断能力が低下している
  • 身元保証人がいない

というケースです。

ここで重要なポイントがあります。

成年後見人は施設の連帯保証人になれません。

そのため

財産管理
→ 成年後見人

施設保証
→ 民間保証サービス

という形で
役割分担が行われます。

費用面の注意点

制度利用では費用も重要です。

成年後見制度

  • 家庭裁判所が報酬を決定
  • 本人死亡まで支払い継続

身元保証サービス

民間契約のため

  • 初期費用
  • 預託金

が必要です。

事業者例では
約150万円程度のケースもあります。

また民間サービスのため

事業者選びが非常に重要

になります。

ケアマネジャーとして大切な視点

今後、日本では

おひとりさま高齢者

がさらに増えていきます。

そのため支援では

  • 成年後見制度
  • 任意後見
  • 身元保証サービス

組み合わせて考える視点

が重要になります。

特に大切なのは

判断能力が低下する前に

  • 将来の生活
  • 身元保証人
  • 死後事務

について

本人と話し合っておくこと

です。

ケアマネジャーは
制度の利用を決める立場ではありませんが、

制度につなぐ役割

を担っています。

これからの高齢社会では、
こうした制度理解がますます重要になっていくと感じました。